2016/06/16　 平松さとし「世界の騎手列伝」

【世界の騎手列伝　vol.37】チョン・カー・ケイ

　現在、香港で話題になっている騎手が2人いる。

　1人は日本でもお馴染みのJ・モレイラ。前シーズンに自らが樹立した香港競馬に於ける年間最多勝記録を更新。2位のZ・パートンに大差をつけてすでに今シーズンのリーディングジョッキーの座を確定的なものにしている。

　そうしてもう1人は勝ち鞍でいえばその脚元にも及ばないものの、話題性では劣らないのが今回紹介するチョン・カー・ケイだ。

　名前を聞いたことのある人もいるだろう。香港で15年ぶりに誕生した女性見習いジョッキーである。

　1992年12月10日生まれで現在23歳。

　12年に香港の競馬学校に入学。規定により香港で騎乗を始める前に海外で一定の成績を残さなくてはいけないことからニュージーランドに渡ると、かの地で40勝以上を記録。15年に香港に帰国すると正式に騎手免許を取得した。

　香港の見習い騎手に与えられる免許は、まずは沙田競馬場のみでの騎乗を許されたもので、チョンも同様。15年9月6日に沙田でデビューすると10月10日に初勝利を挙げた。

　12月には骨折で休養を余儀なくされたが、今年2月に復帰。3月からは競馬場の限定がなくなり、ハッピーヴァレー競馬場でも騎乗できるようになった。

　4月10日はなんと4勝を挙げ、香港競馬の女性騎手1日最多勝記録を更新（それまでは2勝）した。5月に入ると通算20勝目をマーク。これは過去の香港の女性騎手の最多勝記録。なんとデビューシーズンだけで新記録を更新してしまったのだ。

　もちろん減量を生かしているのは間違いないが、将来有望な女性ジョッキーである。（文中敬称略）

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