2014/10/06 平松さとし「海外競馬 スペシャルコラム」
【凱旋門賞2014】悲願ならなかった日本勢?? 鞍上たちは、何を感じていたのか
10月5日、フランス・ロンシャン競馬場。前夜の雨は上がったものの曇天の空模様に、朝はグッと冷え込んだ。その後、徐々に気温が上がり、現地時間夕刻16時30分、今年の凱旋門賞はゲートが開いた。
日本から参戦したのは3頭。ゴールドシップ(牡5歳、栗東・須貝尚介厩舎)、ジャスタウェイ(牡5歳、栗東・須貝尚介厩舎)、そしてハープスター(牝3歳、栗東・松田博資厩舎)だ。
ジョッキーはそれぞれ横山典弘、福永祐一、川田将雅。3人は福永を先頭にして一緒にパドックに現れた。皆、緊張の面持ちではあるが、オーナーや調教師とは和やかに会話をしている。しかし、日本のようにパドックを長い時間、回すわけではないので、間もなく騎乗合図がかかる。そして、騎乗すると今度はすぐに馬場へ向かう。
馬場入場後、少々うるさい素振りをみせたのはゴールドシップ。横山が懸命になだめて返し馬に移った。
一方、ジャスタウェイの返し馬。鞍上の福永はほくそ笑んでいたことをレース後に明かした。
「返し馬はドバイの時よりも良かった。『これは勝てるのでは?』と思うくらい」
ゲートはゴールドシップが最後入れをリクエスト。白い馬体が収まると間もなく前扉が開かれた。
ハープスターはゲートの中で待たされた影響か「いつも以上に進んで行かなかった」と川田。後方2番手からの競馬となった。
更に後ろからの競馬となったのがゴールドシップ。スタート後、一気に最後方まで下がっての競馬となった。
ジャスタウェイも同様に後方からの競馬。しかしこちらは「普通に出たけど、思ったよりポジションを下げてしまった」と福永。後方4番手からのレースとなった。
レースが動いたのは直線に向いてから。ペースメーカーが脱落するのと入れ替わるように先頭争いを演じたのは好位のインにいたアヴニールセルタンとトレヴ。しかし、そこから先は全く違う脚色となった。ここまで負け知らずのアヴニールセルタンが失速するのとは対照的にトレヴが加速。ラスト300メートル手前から一気に抜け出してみせたのだ。
「正直、昨年の状態に戻っているとは言いかねるけど、痛めていた腰は完治して、徐々に良い状態になっています」
トレヴを管理する女性調教師のM・ヘッドマアレクは戦前そう語っていたが、彼女が思っている以上にトレヴは良くなっていたようだ。最後は2着フリントシャーに2馬身の差をつけ、連覇を達成した。
日本勢はハープスターの6着が最先着。今年も日本馬初の凱旋門賞制覇の偉業は達成されなかった。(文中敬称略・了)
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