2014/10/02 平松さとし「海外競馬 スペシャルコラム」
【凱旋門賞2014】凱旋門賞の歴史
凱旋門賞の正式名称は“Prix de l‘Arc de Triomphe”。毎年10月第一日曜日に、フランスのパリ郊外、ロンシャン競馬場で行なわれる芝2400メートルのG?レースだ。
第1回の凱旋門賞が行なわれたのは1920年。実に100年近く前のことである。その後、第二次世界大戦の時に2年連続で中止になったものの、それ以外が途切れることなく行なわれ、今年は93回目の開催となる。
スポーツの世界では何でもホームアドバンテージがモノを言うケースが多いが、競馬はとくにそう。凱旋門賞も例外ではなく、過去92回中65回が地元フランス馬の優勝で幕を閉じている。次に多いのがイギリスの12回、アイルランドの7回と続き、述べ92頭全てがヨーロッパ圏で調教をされた馬である。
創設当初は強い馬がこぞって参戦するというわけではなかったが、その後、何回も賞金を増額したり、同一日に大レースを複数行なうなどの努力も実り、現在では欧州競馬の末尾を飾る中長距離のヨーロッパナンバー1決定戦の様相を呈している。
転機となった出来事はいくつかあるが、49年に賞金が大幅に増加されたことも大きかった。それを受け、同時期に行なわれていた性質の似たレース、すなわちキングジョージ?世S(現在のキングジョージ?世&クイーンエリザベスS)が施行時期を移行。これによりイギリスを始めとした欧州各国からの馬も集まりやすくなったことで、レースの方向性は好転した。よい馬、強い馬が集まりやすくなったことで注目度もレースのレベルも高くなり、スポンサーも付きやすくなった。スポンサーが付けば賞金が上がり、そのことで出走馬の質は更に上がっていったのだ。
65年に同競走を制したシーバードはいまでも「最強馬」と呼ぶ人が多いし、71年のミルリーフ、86年のダンシングブレーヴ、95年には“神の子”とも“神の馬”とも言われたラムタラが勝つなど、数々の名馬が輩出している。
もちろん近年でもその傾向に変わりはない。
08年にはザルカヴァが、昨13年はトレヴがいずれも無敗で同レースを優勝。名牝の名をほしいままにした。
またこの2頭だけでなく12年のソレミア、11年のデインドリームなど、牝馬が強いレースとしても知られている。負担重量が、古馬の牡馬は59・5キロなのに対し3歳牝馬は54・5キロ。よくこの5キロの差が大きいと言われるが、同年齢であれば牡牝の差はわずか1・5キロしかない。それだけに単純に斤量差だけで牝馬に有利とみるのは間違っていると思う。今年もアヴニールセルタンや日本のハープスターなど優秀な3歳牝馬がエントリーしているが、果たしてどんな結果が出るだろうか……。
▽「凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち」
著:平松さとし
発行:株式会社KADOKAWA
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