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コラム

2016/05/13  【月刊UMAJIN編集部】インタビュー・コラム「「独占!」【月刊UMAJIN編集部】インタビューコラム」

【UMAJIN.net限定】新刊書籍『後藤の語!』WEB立ち読み

新刊書籍『後藤の語!』 2016年5月10日(ゴトーの日)発売

月刊UMAJINで約4年間続いた後藤浩輝騎手の連載エッセイ『後藤の語!』の書籍化に伴い、UMAJIN.net限定で連載の一部を再掲載。毎月、原稿用紙に直筆で原稿を書いていた後藤騎手の人生観や、競馬に懸ける想い??。彼特有のユーモアを交えながら綴られた文章から、きっと等身大の後藤浩輝を感じられるはず。

第四回 永遠の称号「ダービージョッキー」
(月刊UMAJIN2010年5月号掲載)

鮮明に蘇る「初ダービー」
ウッシッシ…ってオイ!

 お待っとさんでした! 36歳を迎えてから3週連続で重賞を勝ち、TVの勝利ジョッキーインタビューで、今ではすっかり死語となった「どんだけ?!」を思わず叫んでしまいそうになった後藤浩輝です。
 あまりにできすぎな結果に、正直気持ち悪くなり、何か悪いことが起こる前兆なんじゃないかと思ってしまい、外を出歩くのも怖くなるほどだった。もちろん週を追うごとにインタビューもマジメになっていき、俺の見えない恐怖へのビビリっぷりが顕著に現れていった。
 おかげでTVを見ていたファンや知り合いからは「インタビュー期待していたのにガッカリでした」「マジメすぎてつまらなかったです」とブーイングの嵐。しかし春のGIも序盤戦、こんなところで調子に乗ってつまずくようなことだけはしたくない。「次勝ったらこんなギャグがいいですよ」とか「これかぶって出てください」という甘い誘惑にも負けず、優等生のフリをして今日も頑張っている。
 今年の春は41年ぶりとなる4月の積雪もあったほど、寒さが続き、桜の淡いピンクを見ても温かな気持ちになることはできなかった。
 その影響もあり、競馬の盛り上がりも今一歩熱くなりきらない印象だ。クラシックも桜花賞、皐月賞と終わり、それぞれ、アパパネとヴィクトワールピサが1番人気に応えて優勝した。
 そうなると人々の気持ちは一気にオークス、ダービーへ、気温とともにマスコミの熱も上昇する。ジョッキーもこの時を夢見て、毎年デビューする若駒の中から宝探しのような気持ちで日々すごしているのである。誰もが「ダービージョッキー」というキングの称号が欲しくて苦しい毎日にも耐えて頑張っているのだ。
 有馬記念を勝っても「有馬ジョッキー」と呼ばれない。ジャパンカップを勝っても「ジャパンカップジョッキー」と呼ばれない。しかしダービーを勝てば「ダービージョッキー」として死ぬまで称えられる。いや、きっと死んだあとも語り継がれるだろう。
 俺が初めて目にしたダービー。今、目を閉じて思い浮かべるとはっきり映像が蘇ってくる。「はらたいらさんに3000点」「竹下景子さんに2000点」。ウッシッシと笑う大橋巨泉…ってオイ!
 それは「クイズダービー」やろ?!(文章でノリツッコミをするほど寒いものはない・苦笑)

ダービーへの考えが一変した
外国産馬ルゼルとの出会い

 俺が「ダービー」というものを初めて意識したのは競馬学校の入学式でのこと。取材に来た記者に「勝ちたいレースは?」と聞かれ、ほかの同期たちがみんな口を揃え「ダービーです!」と答えていた。俺はなぜみんなが同じレースを勝ちたいと言うのだろう? ほかにもたくさんレースはあるのになんでダービーなんだ? と不思議に思っていた。それでもそのときはまだ競馬のことを何も知らなかった俺は、とりあえず「ダービーです」と答えていた。それから俺がダービーの重さ、すばらしさ、そして難しさを知るまでに、じつに12年を要した。
 「ダービーなんて、運が良かった馬が勝つんだろう」くらいにしか思えずにいた。なぜなら生まれてからたった一度のチャンス、そしてそのワンチャンスのためにハードなローテーションでトライアルをこなしながら、最後の一戦で最高のコンディションに持っていき、なおかつ最高の枠順、天候で迎えなければいけないわけだ。「そんなの実力だけじゃ勝てるわけないじゃないか」と思えてならなかった。しかし2001年、俺はルゼルという、田村康仁調教師の管理する外国産馬と出会ったことによって一変した。
 それまで外国産馬にとってクラシックは無縁だった。しかしこの年から少しずつ枠が開放され、トライアルを勝つことを条件に出走が許されるようになった。ルゼルと俺、そして調教師、スタッフは、内国産馬でも出走条件をクリアするのが難しいものを、さらに厳しい条件と向かい合い、その小さな針の穴に糸を通すような作業をひとつひとつ緻密な計画のもと、遂行していった。
 しかし、どんな最高の状態でレースまで持ってこられても、最後にジョッキーがひとつでもミスを犯してしまえば、一瞬でそれまで長い時間をかけてきたものが水の泡になってしまう。ゲートでたった0.1秒出遅れてもだ。「0.1秒って大げさな」と思ったら大間違い。0.1秒あれば1馬身、2400m走って1センチ差で勝ち負けが決まるこの世界では、もしかしたら0.00何秒、まばたきしている間に勝負の分岐点がきているのかもしれないのだ。そんな思いで俺たちはダービーまでの道のりを一歩一歩大事に歩んでいった。
 そしてルゼルにとって最初で最後のチャンスであるダービートライアル・青葉賞を迎え、見事に逃げ切りで勝つことができた。外国産馬として、初めてダービーチケットを手にしたのだ。それは田村調教師にとっても初めての重賞タイトルで、検量室へ戻ると涙を浮かべた田村調教師が待っていた。いつもなら「ありがとうございました」と言う俺が、そのときばかりは「おめでとうございます」と自然に口をついて出た。

“出る”ことを意識しすぎて
“獲る”ことを見失っていた

 しかしダービーを知らない俺たちは、いつの間にかダービーの落とし穴に足を引きずり込まれていた。「ダービーに出る」ことだけに目標を定めすぎて、「ダービーを獲る」ことを見失っていたのだった。「トライアルを勝たなければ…」とばかり強く願い、知らず知らずのうちにルゼルを青葉賞で100%の状態に持っていってしまっていたのだった。
 青葉賞を走り終えたルゼルはボロボロに燃え尽き、ダービーを走る頃にはまるで別の馬になっていた。4番人気に推されながらも、青葉賞での粘りがウソのように直線でバタバタになり、14着でゴールするのがやっとだった。そのとき俺はくやしさ以上に自分の未熟さ、浅はかさを痛感した。それまでにダービージョッキーやダービートレーナーから見たこと、聞いたことが、初めて線としてつながった瞬間だった。
 競馬の世界ではよく「余力を残す」や「伸びしろ」といった言葉を使う。それこそが一番大きなキーワードなのではないか?
 そもそも日本人は真面目な人種だ。「一生懸命にやる」「死ぬ気で頑張る」ということが大好きなのだ。だから気合いが入って一度スイッチを押してしまうとどこまでも突っ走って、体がいうことを利かなくなるまで頑張ってしまう。人間がそのレベルなのだから、言葉をしゃべれない馬ともなれば心から発せられる悲鳴や訴えは人間には伝わりづらく、真面目な馬であればあるほど、調教やレースのときになると、痛みや苦しさを見せずに一生懸命に走ってしまう。馬にとってはトライアルだの本番だのは関係ないのだ。毎回「本気」なのだ。
「ここを走って、だいたいこれぐらい体重を減らして、トレーニング方法もちょっとハードにして…よしっ! ダービーはもらった!」なんて考えてくれる馬がいたら最高だが、100%いるはずがない。だからこそ人間がそれをちゃんと計算して馬に教えてあげなければいけないのだ。
 だからもし一流ジョッキーがクラシックを意識するような馬に乗っているときは、デビュー戦からじっくりと見てほしい。なるべく大きな負担をかけないように、ステッキでバシバシ叩いたりせず、長距離でも折り合いがつき、最後にバンッと弾けられるように、そう…デビュー戦から頭の中では「ダービー」がしっかりと描かれているのだ。
 ルゼルとの出会いで俺は「ダービー」というものを知ることができた。そして、まだぼんやりとかもしれないが、毎年頭の中でダービーの最後の直線を生き生きと元気に走る馬と、その背中にいる自分をイメージしながら毎日過ごすことができるようになれた。
 もうすぐ今年のダービー。そしてそれが終わると来年のダービーを目指す若駒たちが入厩してくる。昨年思い描いたイメージより、鮮やかなイメージを持てることを願って、その時を待ちたい。

2010年4月23日 後藤浩輝

新刊書籍『後藤の語!』
装丁:ハードカバー/本文336ページ/四六版
価格:2,000円+税
ISBN:978?907284?03?9
発行:株式会社UMAJIN
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