2011/08/11 【月刊UMAJIN編集部】インタビュー・コラム「「独占!」【月刊UMAJIN編集部】インタビューコラム」
長谷川仁志/本紙の2歳戦総括「一番馬を追え!!」vol.1
競馬専門紙「ダービーニュース」の本紙予想を務める長谷川仁志が、今年行われた全2歳戦を開催ごとにプレイバック。POGファン必見、将来性の高い馬を中心に“走る”2歳馬をズバッと診断するぞ!
◇3回中山・4回阪神・4回京都(前半)・1回函館
3回中山開催、一番時計はエクセルシオール
今年は夏の福島が震災の影響から開催不能となり、中山で代替開催が行われた。この開催は芝1200mの新馬を勝った4頭の勝ち方が印象に残ったが、時計的にはすべて1分10秒台。馬場差を考慮に入れても“優秀”とまでは言えない。初日に勝ったスマイルゲート(牝、父タニノギムレット、母シーセモア、国枝)はスマイルジャックの全妹。兄も新馬勝ちしており、センスの良さを感じるが、やはり牝馬のぶん、スケールで劣る。
3日目のエクセルシオール(牡、父Exceed And Excel、母メイビーフォーエヴァー、池上)は1分10秒0の一番時計。びっしり追っていれば10秒を切っていただろう。
この点と、2着のビウイッチアス(牝、父ダイワメジャー、母フィールドソング、武藤)と3着のレオアクティブ(牡、父アドマイヤムーン、母レオソレイユ、杉浦)が2戦目を楽勝して、
4日目の芝1800mはマイネルロブスト(牡、父ゼンノエルシド、母コウエイベラドンナ、高橋裕)が5F64秒5の超スローを4角7番手から差し切った。ペースが上がってあの脚が使えるかは未知数だが、スエヒロジョウオーの孫にあたる血統からいい瞬発力を秘めており、1400?1600mあたりに短縮してくればもっと切れる。
7日目の芝1600mはピーエムデメテル(牝、父クロフネ、母ルミナスハッピー、和田一)が2着に2馬身半差の完勝。インで脚をタメて、直線は瞬時に抜け出した。センスがいいし、脚の回転が速い。クロフネの牝馬では今年、ホエールキャプチャがクラシックで活躍したが、この時点の完成度ではむしろ上ではないだろうか。
4回阪神開幕週では新種牡馬の仔がワンツー
4回阪神は2日目の芝1600mが新種牡馬ダイワメジャー産駒のワンツー決着となり、話題を集めた。勝ったダローネガ(牡、父ダイワメジャー、母カメリアローズ、佐々木)はエピセアローム(牝、父ダイワメジャー、母ラタフィア、石坂)の追撃を首差しのいだあたり、いい勝負根性をしているし、馬体に余裕もあったが、5F62秒1のスローペースを2番手と位置取りの良さを生かしたかたち。むしろ出遅れて、直線は外へもたれるなどロスの多い競馬を挽回した、2着
牝馬クラシックといえば、ファンタジーSから阪神JF、桜花賞あたりを想定した場合、楽しみな存在が新馬勝ちしたのが、4回京都の前半。初日のブロッケン(牝、父ワイルドラッシュ、母ヘニーズソング、山内)は開幕週とはいえ、芝1200mを1分9秒6の好時計。しかも35秒6?34秒0と前半が1秒6も遅い流れを、33秒7の上がりで差し切った内容が素晴らしい。ちなみに2着イントゥザストームはディープインパクトの牝駒。父がダート向きのワイルドラッシュといっても、瞬発力勝負でディープインパクト産駒を寄せつけなかったのだから、大したもの。例えばファンタジーSあたりに使ってきた場合、本命候補だ。
3日目にラストを流して大楽勝したのが、エイシンキンチェム(牝、父フジキセキ、母アルカイックレディ、高野)。ただし芝1200mで1分11秒0はあまりにも平凡で、先のブロッケン組にあてはめると8着にしか過ぎない。この点から2戦目のダリア賞では▲に評価を落としたが、4角6番手からの差し切りを決めて、タイムも1分21秒8。1F違うが、かなり短縮してきた。調教では抜群に動くし、鞍上の意のままに動けるあたり、センスも十分。今のところ欠点はないが、母父がミスターグリーリーで、マイルに延長すると少し甘くなる可能性はある。
1回函館開催はコスモメガトロンが断然!
1回函館組では2日目のコスモメガトロン(牡、父サクラバクシンオー、母ダイアナチェリー、清水英)が直線、軽く仕掛けた程度の圧勝。芝1200mで1分9秒7はレコードに0秒2差で、函館の新馬史上最速のものだった。函館2歳Sでは断然の人気を集めたが、終始、馬群の中で窮屈な競馬を強いられて4着と期待を裏切った。もっと積極的な競馬を丹内騎手がしていれば…。初戦、追わないで勝った反動。追い切りは動いたが、放牧から帰厩当初は馬がボケていた。敗因はいろいろ考えられるが、能力を出し切っていないことは確かだろう。スケールの大きさは同じ北海道デビューのバクシンオーの牡馬、グランプリボスに劣らないとみており、すぐ巻き返してくるはずだ。
函館2歳Sでコスモメガトロンに先着した2着アイムユアーズ(牝、父ファルブラヴ、母セシルブルース、手塚)、3着ナイスヘイロー(牡、父キングヘイロー、母ナイストップクイン、目野)は、重賞が3戦目。キャリアにものを言わせた。この2頭と、初日の芝1000m戦を勝ち、ラベンダー賞と連勝したダームドゥラック(牝、父シンボリクリスエス、母ファアリーテールタイム、領家)は完成度の早さが売り。3頭とも同程度の評価で、まともに走ればコスモメガトロンに適う存在ではない。
中距離では7日目の芝1800mを差し切ったゴールドシップ(牡、父ステイゴールド、母ポイントフラッグ、須貝)。レコードといっても時計は標準だが、開催4週目の芝で上がり35秒を切ったことに価値がある。父ステイゴールド、母父メジロマックイーンはオルフェーヴル、ドリームジャーニーと同配合。母系がいくらかダートな志向だけ前記兄弟と同じ期待はかけられないが、それでも距離が延びて魅力十分の存在ではある。
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