2017/07/01　 月刊「UMAJIN」編集長・山田「月刊「UMAJIN」編集長・山田の重賞「穴ライズ」」

[CBC賞(GIII)]馬場状態とリンクする中京改修後の傾向

キタサンブラックがよもやの大敗を喫した先週の宝塚記念。敗因として考えられるのは、同じく惨敗だった日本ダービー以来の大外枠だ。昨年はほとんどのレースで内枠を引く幸運に恵まれた同馬だが、今回は少頭数とはいえ8枠からのスタート。ハナを奪えず自分の競馬ができなかったことに加え、終始ラチから遠くを回らされるロスが響いたのかもしれない。まさに「競馬に絶対はない」。現役トップホースでも枠順や馬場状態などの条件次第で、パフォーマンスを落とす可能性はあるというわけだ。

今週行われるCBC賞も、条件次第で好走馬の傾向がガラリと変わるレース。その条件とは、シンプルに馬場状態。たとえば良馬場で行われた昨年は、ハナを切ったベルカントが3着に粘り込み、2着にも番手で運んだ7番人気のラヴァーズポイントが入るなど、前々でレースを進めた馬が好走する傾向にある。一方で重馬場だった2015年は、優勝馬ウリウリを筆頭に後方待機勢が馬券圏内を独占。それ以前でも良馬場の2014年、2013年が逃げ・先行決着、重馬場の2012年が差し・追込決着となっており、馬場状態と脚質傾向が明確にリンクしていることがわかる。

このように顕著な傾向が見られる理由は、2012年のコース改修に求められる。まず“良馬場＝逃げ・先行有利”となる原因は、向こう正面から直線まで700mほど続く高低差3.5mの下り坂。勝負どころに下り坂があることでスピードが落ちず、さらに開幕週の良好な馬場も相まって逃げ・先行馬が残りやすいのだ。一方で“道悪＝差し・追込有利”の原因は、コーナーに設置されたバンク。バンクとはコース外側からラチに向かって設けられたなだらかな傾斜のことで、どの競馬場にもバンクはあるが、中京競馬場はJRA全10場の中でも最もキツい3.5％の傾斜が付けられている。そのため外を回した追込馬は遠心力が付きやすく、馬場が渋って逃げ・先行勢の脚が鈍れば、一転して大外一気が決まる舞台へと変貌を遂げるというわけだ。

馬場と脚質が関連しているとなれば、気になるのは当日の馬場状態。土曜の中京は週中の雨の影響が残っており、日曜も道悪での開催となる公算が高い。となると分析のとおり、差し・追込有利の認識で穴馬をチョイスすべきだ。ここで注目は、重馬場の2012年に7番人気2着と激走したスプリングサンダー。2走前の阪急杯を2着に好走し、牡馬相手でも戦える力を示していたのだが、前走のヴィクトリアMでは 13着と大敗。もともと道悪実績のある追込型スプリンターで、良馬場のキレ味勝負では持ち味を生かせなかったのだろう。同馬のようなタイプは、春のパンパンの馬場が合わず結果を出せないこともしばしば。しかし、今の馬場を考慮すると、近走の実績はむしろ目くらましになる。要するに、ここでは高速馬場での敗戦を理由に評価を下げている道悪巧者で、かつ差し・追込馬が狙い目というわけだ。

【CBC賞の“穴”ライズ特注馬】
注）ティーハーフ
稍重の高松宮記念で4着に健闘したほか、2年前の函館スプリントS優勝の実績も光る追込型スプリンター。その後、不調が長引いたものの、今年に入って徐々に復調気配がうかがえる。近2戦は良馬場の京都でキレ負けも、得意の道悪で持ち味のパワフルな末脚を生かせれば。

注）トウショウドラフタ
前走の京王杯SCは重馬場ではあったものの、中盤が極端に緩む瞬発力勝負になって出番なし。3歳時のファルコンSで極悪馬場を物ともせず大外一気を決めたように、道悪は鬼の部類。気性の激しさを考えれば距離短縮もプラスに働くはずだ。

注）スノードラゴン
今年初戦のオーシャンSは決め手勝負でキレ負け。道悪の高松宮記念ではシュウジやメラグラーナに先着し、前走の北海道スプリントでも2年連続の3着確保と、9歳ながら衰えはない。外めの枠でジックリ運べば3年前の高松宮記念の再現も。

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