2017/06/17　 月刊「UMAJIN」編集長・山田「月刊「UMAJIN」編集長・山田の重賞「穴ライズ」」

[ユニコーンS(GIII)]京都ダート1800mのオープン組は隠れ好走ローテ

ベルモントSでの活躍が期待されたエピカリスだが、残念ながら直前に右前脚ハ行のため出走取消となり、日本馬初の米クラシック制覇はおあずけとなった。そんな3歳ダート路線の大将格不在で行われる今週のユニコーンS。過去10年の優勝馬はすべて1?3番人気と、人気勢が実力通り結果を出す傾向にはある。ただ、6番人気以下の伏兵も8頭馬券に絡んでおり、いわゆる“ヒモ荒れ”が起こりやすいレース。エピカリスの不在に加え、上位人気を担ったであろうアディラートが除外となっただけに、穴馬台頭の余地はあると見た。

過去の好走ローテを分析すると、交流重賞から500万下までグレードや距離を問わずさまざま。開催時期が2013年にスライドした翌年に同舞台の青竜Sが新設され、2015年には同レース経由組が馬券圏内を独占したこともあったが、昨年は別路線組が優勢だったように今のところ王道と呼ぶべき前哨戦は存在しない。理由は過去10年で番組が目まぐるしく変わったためで、開催時期のスライドとオープン戦の新設、さらに中京競馬場改修による番組改編などの影響があり、過去の結果を見ても好走ローテを割り出すことが難しいのだ。

しかしながら、穴馬発掘のポイントはやはり前走にある。注目したいのは特定のレースではなくコース。それは前走京都ダート1800mのオープン戦組で、具体的には鳳雛Sや2012年以前の端午S、そして2011年のいぶき賞を経由した馬は、過去10年で【2.2.2.15】と6頭が馬券に絡む活躍を見せているのだ。好走馬には人気馬が多いものの、なかには2014年7番人気3着のバンズーム（前走3着）のような穴馬もいた。ちなみにユニコーンSに向かわなかった馬でも、たとえば直後にジャパンダートダービーを制覇した2012年のハタノヴァンクールや2008年のサクセスブロッケンなどがおり、好走馬のレベルは総じて高い。

コーナー4つで右回りの京都ダート1800mとコーナー2つで左回りのユニコーンS。一見直結しづらいように見えるが、ラップ構成に着目すれば意外な共通点が見えてくる。京都ダート1800mは1コーナーまでが286mと短いため先行争いが激化しやすく、JRAレコードも出ているほどの高速コース。つまりハイペースへの対応力を問われるという意味で、芝スタートの東京ダート1600mとリンクするというわけだ。今年この条件で行われた直近のオープン戦は鳳雛Sのみ。前半3Fは35秒9とかなり速く、道中もよどみなく流れて上がりのかかるタフなレースだったことを考えると、同じく前傾ラップになりやすい本番と直結しても不思議はない。

加えて着目すべきはシゲルベンガルトラの存在。5走前から前走の青竜Sまで5戦連続でオープン戦を使って【0.0.3.2】。ヒヤシンスSを除く4戦で掲示板を確保と堅実な成績を挙げているが、この5戦で同馬に2回以上先着したのはグッドヒューマーだけ。また、5戦中3戦で7番人気以下の伏兵が優勝した点からも、3歳ダート路線はエピカリスなどを除けば横一線の大混戦という構図が見えてくる。そして、この“指標”となるシゲルベンガルトラが鳳雛Sに出走していないことがキモ。つまり、未知の魅力という意味でも鳳雛S組は盲点であり、前述の要素も加味すれば穴候補をどこから選ぶべきかは明らかだ。

【ユニコーンSの“穴”ライズ特注馬】
注）サンライズノヴァ
鳳雛Sでは人気を裏切って4着に敗れたものの、差し有利の流れを早め先頭の積極策からコンマ1秒差なら“負けて強し”。2走前の伏竜Sでは道中同じようなポジションにいたシゲルベンガルトラに1秒以上先着しており、重賞でもやれる力はすでに示している。

注）ウォーターマーズ
デビューから6戦すべて京都ダ1800mに出走し、鳳雛Sを含む4戦で上がり最速を計時。ペース問わずキッチリ差してくる決め手が身上で、直線の伸びる東京替わりも好印象。最終追いでは併せた古馬相手に抜群の動きで先着し、自己ベストを1秒更新と仕上がりも万全だ。

注）ブルベアバブーン
2歳時に500万下を制して以降一時低迷したが、端午Sは大外から豪快に伸びて前のシゲルベンガルトラを完封。行き脚がつかず最後方からになった鳳雛Sでもしぶとく掲示板を確保と、ここ2戦の充実ぶりは目を引く。ムラ駆けタイプだが脚が溜まれば一発ある。

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