2017/01/14　 月刊「UMAJIN」編集長・山田「月刊「UMAJIN」編集長・山田の重賞「穴ライズ」」

[京成杯（GIII）]差し・追込優勢の中山だからこそ打てる秘策

先週の中山メイン・フェアリーSでは、中団後方に構えた10番人気のライジングリーズンが優勝。3?4コーナーにかけて徐々にギアを上げながら進出すると、力強い末脚で前を飲み込んだ。2着には番手で運んだ1番人気のアエロリットが入線したものの、3着にも人気薄の追込馬モリトシラユリが突っ込み、上位3頭中2頭が差し・追込勢という後ろ有利の決着。午後から降り出した雨の影響もあったとはいえ、レース上がり36秒7を要したことからも、力の要るタフな馬場になっていたのは確かだろう。やはり先週のコラムで記したとおり、今の中山は後方待機組でも十分に馬券圏内を狙える状態だ。

今週も引き続いてCコースのため、先週と似た馬場状態で施行されることはほぼ確実。ならば、京成杯でもフェアリーSと同様に、馬場状態に着目して後方勢の一発を狙うのがベターと言える。実際、今の時期は例年芝の痛みが進行する時期で、過去10年のレース上がりは35秒後半が通例。過去の好走馬の脚質に注目しても、中団?後方の3頭が上位を独占した2014・2015年の例があるように、基本的に差し・追込が優勢だ。しかし、ここで安易に差し・追込馬へ飛び付くのもどうか。確かに先週はフェアリーSを筆頭に、土曜9Rの寒竹賞（3歳500万下・芝2000m）でもホウオウパフュームのゴボウ抜きが決まるなど、差し・追込決着が多々見られた。だが、そのことは各陣営も競馬ファンも周知の事実。「今の中山は差し・追込が届く」という認識がある以上、外差しに徹する馬がいるのは当然で、馬券も差し・追込へ集中していく。

そこで、もう一度先週の芝レースをおさらいしてみる。例えば先に取り上げた寒竹賞。1、2着は後方待機の馬だが、3着には逃げたウインガナドルが粘った。同日10R・迎春S（4歳上1600万下・芝2200m）でもミライヘノツバサが、中盤に11秒台のラップを2本刻む速めのペースながら、先行押し切り勝ち。また日曜12R・4歳上1000万下（芝2000m）では、7番人気のブラックバゴが早めに仕掛けてそのまま先頭を死守し、3連単8万円超の波乱を演出した。こうして振り返ると、差し・追込が決まっているように思われても、意外と逃げ・先行馬が馬券に絡んでいることに気付く。おそらく、普段の中山で大外一気が決まることは滅多にないため、先週のように差し・追込決着が数回起こると、「差し・追込有利」という印象が残りやすいのだろう。しかし、過去の京成杯でも、昨年は先団で競馬を進めた5番人気のプロフェットと7番人気のケルフロイデがワンツーを決めたほか、2009年や2010年のように先行勢が上位を占めることも少なくない。ここは各陣営の心理、そして馬券オッズの裏をかいて、あえて人気薄の逃げ・先行馬を狙うのも手だ。もちろん前に行ける馬ならなんでもいいわけではなく、タフな中山をこなせるスタミナタイプを中心に、特注馬をピックアップする。

【京成杯の“穴”ライズ特注馬】
注）アダムバローズ
前走の京都2歳Sは34秒前半の上がり勝負で劣ったが、同じ舞台の2走前・紫菊賞では果敢にハナを主張し、緩みのないペースを作って粘り切る圧巻の勝ちっぷり。前2走を比較すればスタミナ＞キレは明白で、今の中山なら持ち味を存分に生かせる。

注）サンティール
こちらも瞬発力勝負の前々走で負け、中盤が緩まなかった前走を先行策から押し切った底力タイプ。脚を余したかと思う手応えで入線したあたり、タフな展開の適性は相当高いと見る。2年連続で勝ち馬を輩出中のハービンジャー産駒という点もポイント。

注）ガンサリュート
クラシック候補のカデナにコンマ1秒差まで迫った2走前もさることながら、よどみない流れを前々で凌ぎきった前走が秀逸。キレる脚がないかわりに、常に上がり35?36秒台の脚を使える安定ぶり。上がりのかかる今の中山の馬場は合いそうだ。

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