2017/01/07 月刊「UMAJIN」編集長・山田「月刊「UMAJIN」編集長・山田の重賞「穴ライズ」」
[フェアリーS(GIII)]金杯開催日の馬場状態から見えるヒント
5日に行われた中山・京都の両金杯は、どちらも1番人気が順当に優勝。2?3着も6番人気以内の中穴どころで収まり、3連単はともに1万円強にとどまった。穴党には物足りない決着であろうが、今週は過去に何度も万馬券が飛び出ているシンザン記念とフェアリーSが行われる。どちらも波乱含みのレースながら、シンザン記念には2勝馬が5頭出走するのに対し、フェアリーSは3頭。しかも、シンザン記念には、アイビーSで後の2歳女王・ソウルスターリングの2着に善戦したペルシアンナイト、デビュー2連勝で出世レースの千両賞を制したアルアインなど、世代上位の素質馬が揃った。ならば、狙いはフェアリーS。過去5年でも3連単50万円超の好配当が2度も飛び出している、穴党必見のレースだ。
フェアリーSが現在の中山芝1600mで施行されるようになったのは、2009年以降。芝1200mから1600mへ距離が延長されたことで、後のクラシック好走馬が出てもいいはずだが、過去8年の同レース好走馬から大成した馬は少ない。フェアリーS優勝馬で、後に重賞を制した馬は2010年のコスモネモシン(2013年・新潟記念優勝)のみで、2、3着馬でも、2013年2着のウキヨノカゼ(2015年・キーンランドC優勝)が目立つ程度。オルフェーヴルやジェンティルドンナをはじめ、数々の名馬を輩出した同日のシンザン記念と比べれば、その存在感の薄さは推して知るべしだ。
その要因は、12?3月の牝馬路線を概観すると見えてくる。12月にはGIの阪神JFがあり、2月には今や“出世レース”とも言えるクイーンC、そして3月にはチューリップ賞をはじめとする桜花賞トライアルが始まる。それだけに層の厚い関西牝馬が、わざわざ1月に関東遠征するケースは考え難い。むしろ、過去10年で4頭もの桜花賞馬を輩出している関西のシンザン記念へ回るケースが多く、これがフェアリーSに波乱を起こす要因となっているわけだ。
過去に同レースで好走した穴馬の傾向は多彩で、条件戦惨敗から巻き返した昨年2着のダイワドレッサーや、2015年優勝馬ノットフォーマルのようなパターンもあれば、新馬・未勝利戦から激走した昨年3着のダイワダッチェスや、2015年2着のローデッドの例もあり、前走条件から穴馬を割り出すのは容易ではない。そこで注目したのが、5日中山の馬場状態。5回行われた芝レースのほとんどすべてで、外の差し・追込馬が、内の逃げ・先行馬を圧倒していた。例えばメインの中山金杯は、ハナを奪った5番人気のダノンメジャーが馬券外に沈み、後方待機のツクバアズマオーが外から脚を伸ばして優勝。掲示板にも9、11番人気のシャドウパーティーとカムフィーが外から追い込んで来ている。逆に、逃げ馬が馬券に絡んだのは5R・未勝利戦のみで、内より外が伸びる馬場だったのは確かだろう。また、比較的上がりに時計を要していたのも重要なポイントで、開催が進んで芝の痛みが増し、徐々にタフな馬場状態に変わってきているようだ。以上を総合すると、穴馬の条件はタフな馬場でこそ脚を伸ばせる底力タイプ。とくに東京や京都の瞬発力勝負で劣った馬の中から、今の中山でパフォーマンスを上げそうな馬を狙いたい。
【フェアリーSの“穴”ライズ特注馬】
注)メローブリーズ
洋芝と稍重以上の馬場では【2.0.0.1】と好成績。馬券外に敗れた函館2歳Sでも4着と健闘しており、タフなレースで力を発揮するタイプだ。キレ味勝負のアルテミスSは大敗したものの、34秒5とソコソコの上がりを使っており、今の中山なら割り引く必要はない。
注)アマノガワ
瞬発力勝負の東京・新潟で着外に負け、逆に上がりのかかるタフな中山マイルでは2戦2連対。いかにも時計のかかる馬場に向きそうな経歴を持つ。前走・赤松賞も11着とはいえ、勝ち馬とはコンマ5秒差。着順ほど負けてはおらず、適性抜群の舞台で巻き返しがあっていい。
注)ライジングリーズン
中山のマイルで行われた稍重の新馬戦で、中団から見事な差し切り勝ちを披露。3?4コーナーで多少もたつく面を見せたが、直線を向いてからはグイグイ伸びて前を捉えきった。ズブいところがあるだけに、時計のかかる今の馬場状態は間違いなくプラスに働く。
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