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コラム

2011/02/25  鈴木 正(スポーツニッポン)「No.1の言葉」

池江郎師とマスコミとの信頼関係

ディープインパクトのラストランとなった有馬記念表彰式での池江郎師

 2月いっぱいをもって栗東の池江郎、坂口大、須貝彦、高橋成、野元、吉岡の6調教師が定年引退、美浦の郷原師が勇退します。各調教師とも取材に丁寧に対応していただき、いい思い出しか残っていません。

 中でも池江郎師にはお世話になりました。やはりディープインパクト、ということになりますが、日本競馬史上最強と思える馬であったのに、あれだけ取材が自由自在であったことは、今思い返せば奇跡としか言いようがありません。フランス滞在時などは、全て自由というわけにはいきませんでしたが、それは仕方のないケース。日本国内では基本的にオープンでした。

 かつての名馬は厳しい取材規制下にあったと聞きます。厩舎への立ち入り禁止は日常茶飯事。運動する風景も撮影まかり成らんという馬もいたとか。取材対象は調教師のみで、記者が厩務員と世間話をしたら、真っ赤な顔をして調教師が飛んできた、という逸話もあります。

 ディープに関して、そのようなことは一切ありませんでした。厩舎に行ってもいいし、邪魔にならない程度なら馬房を訪れてもOK。池江郎師もコメントをしてくれるし、調教後なら池江助手も話してくれました。市川厩務員も多くのエピソードを提供してくれました。

 ここからが面白い現象でした。取材が自由なら混乱が起こったり、常識的な線を超えて取材活動をしてしまう社が現れたり、ということが予想されるのですが、そのようなことがディープについては(私が耳にした範囲では)全くなかったのです。むしろ取材陣が自ら統制していました。

 カメラマンは決まった位置に整然と並び、記者は暗黙の了解で池江郎師、池江助手に時間が出来た時に、まとめて聞く態勢が出来上がりました。「競争性に欠ける取材だ」と、とらえるむきもあるでしょうが、厩舎関係者の仕事に迷惑をかけず、そして読者に有用な情報を提供するには、あの方法しかなかったと思います。自由にしてくれるからこそ、迷惑をかけてはいけない、報道陣はみんなそう考えていました。

 池江郎師には、よくぞマスコミを信頼してくださったと、あらためて申し上げたいですね。だからこそ当時、ディープに関する情報は途切れることなく、いつも生き生きとしていて、それがディープ人気を押し上げる要因となったのかな、と思ったりもしています。池江郎師、馬だけでなく人も信頼した、偉大なホースマンでした。


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