2010/07/29 片山 真(日刊ゲンダイ)「No.1の言葉」
嵐の前の静けさか
今週の美浦トレセンは静かに時が流れました。新潟の日曜メーン・NST賞は意外なまでの少頭数。唯一の重賞・GIII小倉記念にはアルコセニョーラ、メイショウレガーロの2頭が参戦を決めましたが、長距離輸送を考慮して水曜の追い切りはソフトなもの。好調時のアルコが見せる、追われて尻尾を振るシーンもありませんでした。「今年こそサマーチャンピオンを狙うには、3戦しなくちゃね」とは畠山重調教師ですが、栗東を拠点に動き回れる関西勢に対し、美浦をベースとする関東馬の小倉への直前輸送はなかなか結果を出しにくい。サマー2000シリーズは立地的に、関西馬にアドバンテージがある気がします。
木曜朝はここ連日の猛暑が和らいで、開門の5時すぎから心地よい風も吹きました。いい感じで廐舎取材を続けていたら、6時半あたりから真夏の陽射しがカーッと照りつけてきて……。ここまでならまだマシだったのですが、7時を回って時折、横殴りにもなるシャワーに見舞われました。馬の動きは静かだったけど、天気は目まぐるしく変わって参った。暑さに弱い競走馬にとっては一時の涼となりましたが、週末はまたまた酷暑の予報。先週あたりも夏バテ気味の馬が見られましたから、今週以降はさらに要注意。人気馬が思わぬ凡走をして、ドッカーンと大穴馬券が飛び出すかも知れませんね。
トレセンを歩いていて気がついたのは、戸田廐舎に緑ゼッケンの2歳馬が目立つこと。今年は戸田調教師の方針で「2歳馬を早めに入廐させている」そうです。新潟の前半2週では3頭が新馬戦を使って2着1回3着1回。今週も土曜5Rでピュアオパール、日曜の6Rでプルーフオブライフがデビューします。廐舎の先輩には、ゴールドアグリ(GIII新潟2歳S)、ブレイクランアウト(GIII共同通信杯)と、夏の新潟で新馬Vを決めた馬がのちの重賞ウイナーに。今年もきっと素質馬が隠れていますよ。
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