2010/07/22 片山 真(日刊ゲンダイ)「No.1の言葉」
関西馬攻勢 今昔
新潟開幕週は関西馬が6特別で4勝。メーンのGIIIアイビスSDの1、3着を含め、おいしいところを持っていきました。夏の新潟は関西馬が最も効率よく稼いでいる開催だと言っていいでしょう。連対率4割を超える廐舎もゾロゾロ。新潟の馬房割り当ては美浦が530、栗東が40で特別馬房が30ですから、条件がびったり合う馬を厳選した精鋭部隊が越後を目指してきます。輸送時間も6時間ほど。関西馬の主戦場・小倉よりも近いのだから、当然かも知れません。
オグリキャップが競馬ブームをグイグイと引っ張っていった頃は、東京や中山へ参戦する馬でも、関西勢はレースの1カ月?2週間前には関東の競馬場に入廐して調整を行いました。その当時の僕は美浦では決まった担当廐舎を持たず、遊軍的存在。代わりに競馬場に入廐済みの関西陣営に密着していたのです。
クラシック登録がなく、ダービーに出られなかったオグリはGIIニュージーランドTに出走。タフな東京マイルの長い坂を“持ったまま”で上がってきたシーンは今も目に浮かんできます。3歳秋はGII毎日王冠からの始動を決めて東京入り。レースの週の火曜か水曜の午後だったかな。「久しぶりだし目方を量っておこう」と話す池江敏郎廐務員(ご存知、池江泰郎調教師のお兄さんです)と辻本光雄助手が、オグリをカンカン場(馬体重計)の近くまで連れて行った時、“事件”は起こりました。
見慣れない場所に思わず立ち上がったオグリが放馬寸前の大暴れ! 泥だらけになって引き摺られながら、お二人が手綱を放さなかったおかげで事故が回避できたのです。もしかしたら、あれがオグリ最大のピンチだったかも。僕一人だけが目撃した秘密を初めてここで明かします。
今週の新潟の注目はもちろん関西馬。日曜メーン・日本海Sは実績ある舞台を待っていたスリーオリオン。土曜は稲妻特別のジニオマッジョーレでいきましょう。
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