2011/05/10　 高井 大輔「世界の競馬はでっかいぞ！」

【世界の競馬】さすが矢作先生! いい意味で用意周到です

　先週のコラムで、「亡くなった父の仔は走る」という話をしたけど、先日亡くなったサクラバクシンオー産駒のグランプリボスがNHKマイルCを制覇した。僕も重めの印を打って見守っていたんだけど、自身の走りで昔からの格言を決めるのだから、大したものだよね。

　今後、グランプリボスは、レース前から話が出ていた英遠征に踏み切る方向で考えているとのこと。まず結論から言うと、この英遠征が成功する可能性は非常に高いと言っていいと思う。

　というのも、今回出走を予定しているのは、アスコット競馬場で行なわれるセントジェームズパレスSというマイルのGIレース。この時期のヨーロッパの競馬は、2000mぐらいになってくれば結構なメンバーが揃うレースも出てくるんだけど、マイル戦に照準を絞ってくる馬は非常に少ない。

　例年、頭数自体がかなり少なく、グループ1のレースとしては、かなりメンバーが薄くなる傾向にある。今年も恐らく7?10頭ぐらいになるんじゃないかと思うし、グランプリボスも結果を残すチャンスが出てくるという訳。

　今年は、英2000ギニーをデビューから無傷の6連勝で制覇。しかも、2着に6馬身差をつける圧倒的な力を見せたフランケルが出走予定。ヨーロッパでこの馬に太刀打ちできそうな馬はいないだけに、回避馬が続出すれば、予想以上に少頭数になるかもしれない。

　グランプリボスがフランケルに勝てるかどうかというのは、やってみないとわからない部分もあるけど、世界の競馬に詳しい矢作先生だけに、頭数が少なくメンバーもあまり厳しくないこのレースを、最初から狙っていたんだろうと思う。いい意味で用意周到だよね。

　本番はデムーロになるようだけど、NHKマイルCでコンビを組んだウィリアムズも、アスコットでの騎乗経験が豊富で、イギリス競馬をよく知っている騎手。そんなウィリアムズが「イギリスの馬場は合っていそう。ぜひ、イギリスに持っていってチャンスを与えてもらいたいね」と話しており、ヴィクトワールピサが開けた風穴を、再び開けるフラグが立ったと言っていいんじゃないかな。

　この夏の英遠征で、グランプリボス、そしてサクラバクシンオーの名前が、世界に知れ渡ることになったら、嬉しいよね！


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