2011/06/17　 井上 達也(デイリー)「トレジャーハンター」

ラテンの血が騒ぎだす!?　第3の男の逆襲が今始まる！

　勢いづいたイタリアンのラストスパートが見られそうだ。来日して6週を終えたN・ピンナ。滞在期間は残り3週間となった。

　来日初勝利を挙げたのは2週目。翌週は勝ち鞍を挙げられなかったが、そこからは3週連続でVを決めた。先週は土日で1勝ずつ挙げるなど、ようやくノッてきた印象だ。

　09年、10年と2年連続でイタリアリーディング3位の成績を残した22歳の腕達者。ただ、同じイタリア人ジョッキーでも、直前に来日した09年、10年のイタリアリーディング1位の肩書きを持つリスポリが28勝を挙げ、高松宮記念も勝ったことを思えば、物足りなさを感じるのも事実だろう。

　とりまく環境が違うこともその理由だ。リスポリは恵まれた感もあるように思う。同時期に短期免許で来日した外国人ジョッキーがほかにいなかったことが大きいのではないか。腕も確かだったが、いい騎乗馬が集まったともいえるだろう。ピンナと同時期に来日したのがオーストラリアの名手ウィリアムズ。騎乗馬が分散するなど、状況は厳しい。

　来週の宝塚記念はトーセンジョーダンとのコンビが決定。よりいっそう力が入る。

　「イタリアでもGIを勝ったことがないからね。賞金も注目度も高いレースだから」とピンナは笑顔をのぞかせる。

　2週連続で追い切りに騎乗し、パートナーの力強い動きに手応えをつかんだようだ。「いい動きだよ。チャンスのある馬だし、それを生かしたい。密かに狙っている」。青い目を輝かせて、意欲を見せる。

　現在6勝。来日する前の印象とは違うのだろうか?「いいや、そんなことはない。厳しいのは分かっていたから。それに、ミルコだって、最初の年はなかなか勝てなかったんだろう?」。M・デムーロの初来日は99年で8勝。翌年は34勝を挙げたが、来日初年度は楽々と勝てるもんじゃないようだ。

　「簡単じゃないのはわかっている。でも、あと4つは勝ちたい。10勝して帰りたいな」。来年、再来年と続けて来日することを望んでいるという。長期的な目で見れば、まだスタート地点というわけだ。今週の注目騎乗は土曜11Rのエアラフォンだろう。GIに向けて弾みをつけそうだ。


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