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コラム

2011/09/30  ウマジンおおの「命懸け密着コラム」

【がんばれ日本! 凱旋門賞コラムvol.3】遥かなるシャンティイへの道

日本馬が滞在するシャンティイの駅のホーム。毎日電車でここに通いました。

さて、今日は僕らUMAJINスタッフの
今回の凱旋門賞取材の裏側をお話していきましょう。
笑いあり、涙ありのおフランス珍道中。
お時間ある方は必ず最後まで読んでください。
最後にビッグなプレゼントもあります!


9月26日(月)
僕らUMAJINスタッフ2名は
11時55分成田発の飛行機で
フランスへ旅立った。
フライト時間約11時間。
現地フランス情報の確認と
取材資料の熟読、
2回の機内食と昼寝
それでも時間はじゅうぶんにあり
窓の外はずっと明るいまま。
お日様とともに過ごした11時間でわかったことは
飛行機の飛行速度より地球の自転のスピードのほうが
速いってことだ。


そんなことに感心しつつ
ようやく到着したのが
パリ時間26日の夕方5時半。
さっそくシャルル・ド・ゴール空港から
滞在するホテルを目指して移動。
その滞在するホテルとは
パリの北駅前にあり
日本馬が滞在している
シャンティイへ電車1本で行ける駅であり
国際列車なども発着する交通の要所とも呼ばれるところだ。


しかし、渡航前に知人に聞いた話では
そのエリアはかなりぶっそうらしく
スリや置き引きが多発している地域という。
スラム街?
凶暴なパリっ子たちの巣窟?
殺人無法地帯?


物騒な話を聞いて
最初はかなり動揺していたが
ネットでいろいろ調べてみると
パリ全体が治安が悪いらしく
その地域は交通の要所で
特に人の出入りが多いこともあり
いろんな人種もいるため
ぶっそうな輩もいるということらしい。


注意して気を配り
あまり荷物を持たないなど
気をつければ大丈夫。
そう自分に言い聞かせ
実際にやってくると
確かに人は多いが
スラム街というわけでもなく
刃物をちらつかせている野蛮人もいるわけでもなく
割と普通の街並みだった。
ちょっと雑多な感じはするが
駅は立派な欧風建築で
てっぺんには石像。


オープンカフェもあちこちに点在し
パリっぽいじゃないですか!
ただ、さりげなくマクドナルドがあったり
思い切り漢字で書かれた中華料理屋や、
中国人がやっている「SUSHI」屋さんがあったり
S◯Xショップなるものがあったり
かなり刺激的なところではある。
日本でいえばちょっと歌舞伎町みたいな感じか!?


滞在するホテルはそんな繁華街の駅前、
駅前留学「NOVA」ではないが
北駅名が「NORD」の駅前である。
ホテルは総部屋数200を超えるマンモスホテルだが
建物の1階外部はカフェなどの飲食店に挟まれて
ホテルの入り口は非常に控えめである。
一度に二人分の回転ドアとひとり分の扉があるだけ。
中は日本でいうビジネスホテルみたいな感じ。
(日本のビジネスホテルよりは広いがサービスは日本のほうが遥かに上)


そして、部屋に向かうべくエレベーターに乗るが
エレベーターに「閉める」ボタンがない。
「開ける」ボタンはあるのに閉められない。
つまり自動で閉まるまで待たなければならない。
ちょっと気の短い江戸っ子なら
かんしゃくを起こしそうなほどだ。


とまあここを拠点に
シャンティイの調教と
ロンシャンの競馬取材を行っていく我々だが
もうひとつ大事なイベントが
藤田伸二騎手がゲスト参加してくれる
「日本代表応援ツアー」の夕食会。
これがレース二日前にパリ市内で行われる。
JTBさんの企画ツアーであるが
企画協力している我々もその夕食会スタッフとして参加。
パリではその準備も進めなければならない。


パリ到着初日は時差ぼけの影響もあり
やるべき仕事を片付けてちょっと早めに就寝。
翌朝からさっそく日本馬が滞在するシャンティイへ向かう。
午前7時、外はまだ暗い。
日没が遅いパリは夜明けが遅い。
あたりはまだ夜中だが
駅を行き交う人の数は増えており
夜明けが近いことを感じる。


目的地のシャンティイの駅までは
パリの北駅から電車で30分。
3年前に初めて凱旋門賞取材にきたときに
このルートを使ってシャンティイにむかったので
あまり不安はなかった。


ただ前回はそのとき一緒にいたカメラマンさんが
切符を買ってきてくれたので
実は自分は買い方を知らない。
切符売り場の場所を駅員に聞くと
こちらの言葉が通じないのか
たらい回しにされてしまった。
フランス人はあまり親切ではないのか・・・。


しかしなんとか苦しみながらも
切符売り場と思われる場所を発見。
列に並んで順番がきたら
「アイウォントゥーゴー シャンティイ」と告げると
窓口の女性は理解してくれた様子で
パソコンのキーボードを操作して
画面に映し出されたシャンティイ行きの電車の情報を見せてくれた。
「イエス」と答え料金を払いチケットを購入。
教えてもらった乗り場に行き電車に乗る。


早朝にパリから郊外にむかう人は少ないらしく
電車内は空いていた。
シャンティイはパリの北駅からふたつめ。
降りてみると、そこは何もない田舎駅。
出口の改札すらなく
「これなら切符なくても入れるじゃん!」
と思ってしまう。


車内で駅員が巡回に回っていて、
そこで切符を確認するので
改札はあまり意味ないらしいが、
自動改札を導入したほうが
ちゃんと乗客の確認もできるし
スムーズだと思うんだけど・・・。


駅を降りたら、いざシャンティイの調教場へ。
前回はここから厩舎関係者の車に同乗させてもらい
厩舎に向かったが、今回はつてがなくて
自力で厩舎へむかう。
前回車で行ったイメージでは車で5分くらいの感覚。
駅前にタクシーがいたら
タクシーでそのまま向かおうと思ったが
田舎街の駅前にはタクシーなどいるわけもなく
それなのにタクシー乗り場に3人並んでいる。
「だめだこりゃ!」というわけで
なんとか歩いても行ける距離だと勝手に判断し
徒歩でシャンティイを目指すことにした。


しばらく歩き
シャンティイの競馬場こそ発見したが
調教場や厩舎らしきものが見つからないので
地元の人に聞き込み開始。
すると英語で「ステーブル(=厩舎)」と聞いても
???という顔をされて
まったく通じないことが判明。
というかフランスの田舎町には
英語を話せる人間は簡単に見つからない。
そこで思い出したのが
矢作厩舎のロゴの
「YAHAGI.Y ECURIE」
そう、これこそフランス語で矢作厩舎という意味で
つまりフランス語で「厩舎=ECURIE」なのである。
そこで「イクリー」と聞いてみることにする。


すると、「ああわかった」といって答えてくれた老人は
「まっすぐ行って右だ」と教えてくれた。
ようやく光明がみえてきたと思い
指示された通りに進んでいく。
すると大きな建物を発見!
同行のエディターK氏は
「もしかして、これが厩舎ですか?」と聞いてきたが
前回自分が行った厩舎のイメージとはまるで違う。
(もっと森に囲まれたなかで
住宅街のような雰囲気だったはず・・・)
もしかして、ここって観光用のシャンティイ城の厩舎では・・・。


そんな疑いを持って歩き続けていると
予想どおりそこはシャンティイ城の厩舎。
だ、だまされた・・・。
冷静に考えてみれば
カメラを持った観光客にも見える日本人が
「厩舎はどこ?」と聞いてきたら
地元の人も観光地の厩舎を連想してしまうのも当然だ。
駅からここまで30分は歩いただろうか・・・。
その時間がすべて無駄となってしまった。


じゃあはたして本当の調教場はどこにあるんだろうか?
目の前にシャンティイ競馬場のコースも広がっている。
その反対方向に森が見える。
もしかしたら、あの先かもしれない。
とりあえず我々は
その森を目指して進んでいくことにした。
その後10分ほど歩くと目指していた森林地帯に突入する。


どことなく前回の取材時に訪れた場所に
似た雰囲気を感じたが
それでも厩舎や馬の姿は見当たらない。
いよいよ悩んでくる。
そこで地元の人らしき老夫婦が歩いていたので
道を尋ねてみる。
今度は厩舎といっても
現役馬がトレーニングをしているところだと説明を加えて。
最初は悩んでいた老夫婦だったが
おじいさんのほうが
わかったように説明してくれる。
「この森を抜けたあとの大通りをずっとまっすぐ左に行って
そうすると病院が見えてくるから
そこを左に曲がって、そうすれば着くよ。でもだいぶ遠いぞ」


ずいぶん遠いらしいが
方向がわかっただけでも良しとしよう。
老人の言われる通りに
まず森を出てみると
そこは最初の駅前の通りだった。
その道を左って・・・。
つまり僕らは完全に逆方向に向かっていたのだった。
まさに1時間半の散歩。
調教を見に行くはずが僕ら自身がウォーキングで
十分な運動をしてしまったのだった。


ただ確かな情報を入手できたので
前向きに目的地を目指すことにした。
ひたすら直進しつつ病院を探す。
しかし目印の病院がない。


もしかして行き過ぎていないか?
と思って途中で道を曲がってみても曲がったところには何もない。
やっぱりまっすぐ進むしかない。
こうして10分ほど進むとみえてきたのは
jockey hospitalと書かれた建物。
おおっ、これか!
とようやく次へのステップへ。
そして、その先には
なんとエーグル調教場という看板も発見。
つ、ついに着いたか!
とここまでの苦労が報われて一安心。


で、まずはヒルノダムールが滞在している
日本人トレーナーの厩舎小林智厩舎はどこにあるんだろう?
エーグル調教場にいたフランスギャロの人らしいおじさんに
「WHERE IS SATOSHI KOBAYASHI ECURIE?」
と聞くと
「ん?、どこだったかなぁ? 厩舎はたくさんあるからなぁ。
ちょっと聞いてくるよ」
といって事務所のなかへ。
そのあと誰かと電話で話しているようで
数分後それが終わってようやく
おじさんが戻ってくる。
「小林智厩舎の場所はわかったけど、君たちどうやってきたの?」
「ウォーキングです」
と即答すると、おじさんは目を大きく見開いて
「ここから3キロ以上あるから歩いていくのはきついよ」
と言う。
すると隣にいたおばさんが
「OK、じゃあ私が車で連れてってあげる」
といってくれて
なんと車で移動できることとなった。
おばさんなんていってすみません、お姉さん!


フランスギャロの制服を着たそのお姉さんが
車を走らせること5、6分
ついに厩舎地区に到着。
車で数分っていったって
上り下りありで
これは歩くとかなりたいへんだ。
車にのっけてもらった幸運をあらためて感じ取る。


そしてお姉さんの案内の下、ついに小林厩舎に到着。
小林先生のところまでくると
お姉さんは
「それじゃああとはよろしく!」
とばかりに帰っていった。


3年ぶりに再会した小林智先生。
そのとき名刺交換をしたことを
なんとなく覚えていてくれたようで挨拶をすませ
ヒルノダムールについて聞こうとすると
「ヒルノダムールなら、そこにいますよ」
と小林先生は僕らのすぐ後ろを指差す。


おおっ! こんなところに
ダムールくんが!
昆厩舎のスタッフさんたちは
すでに帰った後。
時刻はすでに12時近く。
日本でも朝の仕事は終わっている時間である。
やむをえずこの日は
小林先生にインタビュー。
ヒルノダムールの状態の良さや
サラフィナの調教師がダムールくんに注目していること
ダムールくんに取材にくるフランスのマスコミも増えていることなど
近況を教えてもらった。


なんとか大事な追い切り日の前に
厩舎の場所がわかってよかった。
これが追い切り日だったら完全で遅刻で
仕事にならなかった。
なんとか一安心して
小林先生に挨拶をすませ
厩舎を後にしてパリに戻ることとにした。


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