2012/05/03 平松 さとし「平松さとしコラム」
【平松さとし】シャンティの種牡馬としての価値を高めたNHKマイルC制覇
こんにちは、平松さとしです。
先週の天皇賞はビートブラックの勝利。オルフェーヴルはまさかの11着大敗と本当に驚かされました。そして、海の向こう、香港ではルーラーシップがクイーンエリザベスII世C(GI)を見事に制覇しました。このあまりにも楽勝だった競馬ぶりにも驚かされました。
さて、今週はNHKマイルCです。日本ダービーに門戸が開かれていなかった外国産の馬たちにとって、春の最大目標といった感があったのは開設当初のお話。今ではすっかり様相が変わり、マイル路線の始めの一歩として確立されたレースです。
今回紹介したいのは2年前のこのレースの覇者、ダノンシャンティです。
新馬戦を勝ったシャンティは、2戦目で重賞のラジオNIKKEI杯2歳Sに挑戦。ここは3着に敗れてしまいますが、3戦目でも果敢に重賞に挑みました。共同通信杯に出走すると、今度は連対を確保。2着となり、毎日杯に駒を進めます。
「この頃には馬がしっかりしてきた」と語るのは管理した松田国英調教師でした。
松田国師はシャンティの鞍上に安藤勝己騎手を迎えます。そして、毎日杯を快勝し、NHKマイルCに出走してきたのです。
NHKマイルCでは押しも押されもせぬ1番人気となったシャンティですが、ゲートが開くとほぼ最後方、18頭立ての16番手で競馬を進めました。
「流れが速いのは分かったけど、最後の脚はこの馬も速かったですよね」
安藤勝己騎手はレース後にそう言って笑いました。
前半56秒台で流れたこのレースを、シャンティは33秒5の時計で上がってみせます。勿論、快勝です。走破時計は実に1分31秒4。当然、レースレコードでした。
「3歳のこの時期に1マイルを1分31秒台で走れてしまう。こんな凄い馬、滅多にいるもんじゃありませんよ」
松田国師はそう言って目尻を下げました。
昨秋には引退、種牡馬入りが決まりました。松田国師は栗東トレセン近くで種牡馬入り記念パーティーを開き、多くの関係者やマスコミを招待して言いました。
「僕等の仕事は、牡馬を預かればいかに種牡馬にして牧場へ返してあげるかを考えるものです。シャンティの快足が、その子供達に継がれていくことを願っています」
種馬として牧場へ帰れるオトコ馬はほんの一握り。しかし、松田国師からは過去にもキングカメハメハやタニノギムレットなど、多くの種牡馬が輩出しています。
東京のマイル戦はスピードだけでなく底力も要求されるコースですので、引退後の活躍まで見越すことの出来る馬たちの選定戦にはもってこいの舞台です。さて、今年はどの厩舎から種牡馬候補が名乗りを上げるのか?それとも牝馬に凱歌が上がるのか……。期待して観戦しようと思います。
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