2012/04/19　 平松 さとし「平松さとしコラム」

【平松さとし】若き藤岡佑介がスーパーホーネットから学んだこと

こんにちは、平松さとしです。

先々週の桜花賞、先週の皐月賞と続いたGIレースですが、今週は一息入ります。重賞はGIIのマイラーズCとフローラS、GIIIの福島牝馬Sが行なわれます。

そんな中から今週は2009年のマイラーズCを勝ったスーパーホーネットと藤岡佑介騎手についてのエピソードを記させていただきます。

栗東・矢作芳人厩舎のスーパーホーネットは藤岡佑騎手とのコンビで07年、08年と2年連続でGI・マイルチャンピオンシップを2着。08年の毎日王冠ではあのウオッカを破って優勝していました。

その勢いに乗り、海を越えたのが08年の暮れでした。香港で行なわれた香港マイルに挑戦したのです。結果はグッドババの5着。当時、藤岡佑騎手は悔しそうに次のように語りました。

「最後も伸びてはいるのですが、スパッと切れてくれませんでした」

その香港マイル以来の出走となったのが09年のマイラーズCでした。約4カ月ぶりの競馬でしたが、ファンはこのコンビを1番人気で迎えました。そして、結果は後の天皇賞馬カンパニーをクビ差退けて勝利しました。

「あのレースは本当に強かった。さすがGIで勝ち負けを繰り返した馬は違うと感じました」

藤岡佑騎手は当時をそう述懐し、さらに続けました。

「個性豊かな馬で、僕自身、本当に色々なことを勉強させてもらいました」

08年の香港マイルに挑んだことは先に記した通りですが、藤岡佑騎手はその2年前の06年、香港競馬を視察に訪れていました。平日に行なわれるハッピーヴァレー競馬場でのレースを観戦し、沙田競馬場での調教も見学していました。それは「いつかここに来ることがあるかもしれないから……」という先を見据えた行動でした。それから僅か2年後、スーパーホーネットが藤岡佑騎手の予習を無駄にしないよう、かの地へ飛んでくれたのです。そんなことも勉強させてもらったことの一つかな？と伺うと、それもありますけど、と口を開いた彼は、さらに続けて言いました。

「マイラーズC勝ちもそうですが、本番を見据える競馬をもっとしてあげるべきだったと反省しているんです。前哨戦だけど、勿論勝ちにはいきます。ただ、その上で安田記念やマイルチャンピオンシップといったそれに続く競馬を見据えてあげなければいけませんでした」

当時は自分も若く、そういった乗り方が出来なかったと唇を噛んで言いました。

「今なら違う乗り方が出来ると思います。そういうこともスーパーホーネットから教わりました」

藤岡佑騎手がGIを制す時、そこにはきっとスーパーホーネットの後押しがあることでしょう。（文中敬称略）


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