2012/03/08 平松 さとし「平松さとしコラム」
【平松さとし】走る馬とは何か、を教えてくれたヤマニンメルベイユ
こんにちは、平松さとしです。
今週は阪神競馬場でフィリーズレビューと阪神スプリングジャンプ、中山競馬場では中山牝馬Sが行なわれます。
今回は4年前の覇者・ヤマニンメルベイユとその手綱をとった柴山雄一騎手の話を書かせていただきます。
ヤマニンメルベイユは東京競馬場では8戦して未勝利。500万条件での2着こそあったものの、8戦中4戦で二桁着順に敗れていました。
これに対し中山では9戦3勝。2008年に制した中山牝馬Sはその前年の07年にも3着。他にも札幌や福島でも勝ち鞍があり、全7勝中6勝を右回りで記録している馬でした。
しかし、競馬ぶりをみていると必ずしも右回りがスムーズにみえる馬ではありませんでした。逆手前のままコーナーに突っ込んで行ったり、手前を変えなかったりといった競馬をするのです。一度、そのあたりを柴山騎手に聞いたことがありました。すると、彼は苦笑しながら次のように答えました。
「そうなんですよ。福島牝馬S(09年、3着)の時も3コーナーから4コーナーの前まで逆手前のまま走っていました。普通に走ってくれればもっと際どい勝負になったのに、勿体ないと思いました」
それでも抜群のスタートセンスはキラリと光るもののある馬でした。中山牝馬Sを勝った時もスタートを決めて、積極的な競馬をしての戴冠でした。その手綱捌きに関しては次のように語っていたものです。
「元々スタートは上手な馬でした。中山牝馬Sを勝った時はその前のレース(白富士S、3着)が良い手応えのわりに伸びず、挙句逃げ馬に差し返されてしまいました。だから、次は早目に先頭に立とうと決めていたんです」
何度も手綱をとったことによりその馬の特徴を掴み、それを勝利に結びつけた競馬だったわけですね。乗り替わりの多い昨今の競馬ですが、このような作戦を組みたてられるのは乗り続けた人にしか出来ません。乗り続けることにより栄冠に辿りつけるケースも多々あるということです。柴山騎手は言っていました。
「メルベイユは未勝利時代から乗っていたけど、当時は僕の経験が浅くてオープン級の力を見抜くことが出来ませんでした。その後、重賞を勝つまでになり、走る馬とはこういう馬なんだと教えてもらいました。僕のキャリアップという意味でも、彼女には本当に感謝しているんです」
さて、そんな中山牝馬Sですが、昨年は2日前に起きた東日本大震災の影響で延期された上、場所を替えての開催(4月2日に阪神競馬場で施行)となりました。今年はあんな忌まわしいことが起こらず、予定通り施行されることを祈りましょう。
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