2012/03/01 平松 さとし「平松さとしコラム」
【平松さとし】馬の身体に“正解”はないことを証明したロジユニヴァース
こんにちは、平松さとしです。
今週は皐月賞トライアル・弥生賞が行なわれます。皐月賞と全く同じ中山の芝2000メートルということで、近年の勝ち馬をみてもディープインパクトやヴィクトワールピサなど、後のクラシック戦線につながる馬の名を何頭もみることが出来ます。
そんな中から今週取り上げたいのは3年前、2009年の勝ち馬ロジユニヴァースです。
ロジユニヴァースは美浦・萩原清厩舎の管理馬でした。この弥生賞はデビュー以来4戦目の競馬。しかし、驚くことに美浦でじっくり仕上げられるのはこの時が初めてだったのです。
同馬がデビューしたのは阪神競馬場。2戦目が札幌競馬場で3戦目は再び阪神競馬場でした。
デビュー前は厩舎の他の馬が栗東に滞在して仕上げるのに、半ば帯同という形で栗東に入りました。もっとも、萩原調教師は、後に次のように語っています。
「確かに最初は他の馬が関西に行くのに一緒に連れて行く2歳馬は何かいないか?と感じでピックアップしました。ただし、2歳ならどれでも良いというわけではありません。デビュー前の2歳馬をいきなり関西へ遠征させるのだから、それなりの馬でないと行くことは出来ません」
そう考えてロジユニヴァースに白羽の矢が立てられたのでした。つまり、ロジはデビュー前からそれだけの期待をかけられていたのです。
そしてロジはその期待を上回る成長をみせました。デビュー戦で468キロだった馬体は、3戦目のラジオNIKKEI杯2歳Sで504キロ。5カ月半ほどの間に実に36キロも増えたのです。当時、萩原調教師は「左トモを中心に全体的に力をつけて成長してくれました」と語っていました。
そして、その成長がみた目にもよく分かる例として、左前脚の話をしてくれました。
ロジユニヴァースの馬体を正面からみると、左前脚が外側に向いているのがよく分かりました。いわゆる外向というヤツで、相馬眼のある人には嫌われるような体です。事実、萩原調教師も「最初は気になった」と言っていました。しかし、成長するに従い、そんな面が徐々に目立たなくなってきたと言うのです。
「胸前に筋肉がついてきたお陰で、少しずつ脚が前へ向くようになっていきました。弥生賞の頃には、走る分にはとくに気にならないくらいになっていました」
他の馬と比較してみるとまだ外向しているようにみえたものですが、毎日同馬を観察している萩原調教師には、少しずつでも確実に馬体が変わっていたことが分かったのでしょう。結果、ロジは弥生賞を快勝、その後、ダービー馬となったのは皆さんご存知の通りです。馬の身体には“正解”などないし、“日々成長している”ということがよく分かるエピソードではないでしょうか。
さて、今年の弥生賞ではどんなドラマが待っているのでしょう。皐月賞やダービーといったクラシックにつながるであろう戦いを注目して観てみましょう。
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