2012/04/18　 河合 力「やさしい競馬のコラム」

【やさしい競馬】ライバルを悩ますあの戦法が見られるか!?

バラエティ番組のマラソン企画などを見ていると、決まってスタートから猛ダッシュして先頭を奪う人がいますよね。代表例としては『オールスター感謝祭』（TBS系）のミニマラソンにおける安田大サーカスの団長でしょうか。

競馬の世界でも、この光景をほうふつとさせる馬がいます。今週日曜のマイラーズCに出走するシルポートです。

7歳馬のシルポートは、キャリア43戦のベテラン。スタートから猛ダッシュで先頭を奪う団長スタイルを14戦目で確立すると、それからはほぼ全てのレースで前半トップ。最初からグングン他馬を引き離していく姿は、いつしかおなじみの光景となりました。

だけどこのシルポート、しばらく経つとヘロヘロになってしまう団長とはちょっと違う。いや、ほとんどのレースでは最後にバテてしまうんですが、年に何回かゴールまでスイスイ逃げる時がある。しかも、バテバテの16着に沈んだ直後のレースで今度は2着になるような、なんとも極端な馬なんです。

この極端さに頭を抱えるのは同じレースに出るライバルたち。シルポートがバテると分かっていれば気にせずマイペースで行くのだけど、万が一バテなかった時のことを考えると、ワイナイナ的（※）にペースアップして追いかけなきゃならない。でも早めにペースを上げたらそれだけ自分も苦しくなるし、しかもシルポートがあっさりバテたら、追いかけ損にもなりかねない。

だからどの馬も、できれば他の馬がペースを上げて捕まえに行ってほしいのが本音。でもいつまでも譲り合っていると間に合わなくなりますから、とことんライバルには悩ましい存在です。

シルポートもうまいんです。バテそうな雰囲気を出しながら実は体力温存していたり、最初こそ猛ダッシュを見せたもののその後はさりげなくペースを落としていたり。そこでさらにライバルたちが追いかけ役の譲り合いを始めればこっちのモノで、後方の馬群から「どうぞどうぞ」の声が聞こえてきたら勝利まであと少し。昨年のマイラーズCでは見事にその戦法がハマり、逃げ切り勝ちを収めました。

ただしシルポートは前走で久々に好走したため、今回マークが厳しくなるのも事実。果たして2年連続で自分の形に持ち込めるのでしょうか？　日曜のマイラーズCに注目です。

※エリック・ワイナイナ…アトランタ、シドニーとオリンピックのマラソンで2大会連続メダル獲得したケニアの長距離選手。TBSの「オールスター感謝祭」内の企画「赤坂5丁目ミニマラソン」に出場している。


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