2012/04/11 河合 力「やさしい競馬のコラム」
【やさしい競馬】デビュー前から「世界一」を期待された馬の実力は?
日本の競馬史において、おそらく史上初めてデビュー前から「世界一」を期待された馬がいます。今週日曜に行われるGI・皐月賞に出走するワールドエースです。
「世界のエースになってほしい」と名付けられたこの馬は、母がドイツで活躍した世界的良血馬マンデラ、父はあのディープインパクトという血統。数多くのディープインパクトの子の中で「走り方がもっとも父に似ている」とのことですから、期待が高まるのも分かります。
とはいえ、あまりに大胆なネーミング。「多くの人に衝撃を与えてほしい」と名付けられた父ディープインパクト、ローマ皇帝から名を取りG1レースを7勝したシンボリルドルフなどの歴史的名馬とくらべても、ズバ抜けて重みのある名前。競馬以外で見ても、これほどの名前を持つのは「キングオブコメディ」というお笑いコンビぐらいじゃないでしょうか。
しかも、世界一になるのは並大抵のことじゃない。今年、近代競馬150周年を迎えた日本に対し、ヨーロッパやアメリカで競馬が行われたのは今から300年以上も前。これまでに海外のレースを制した日本馬はわずかで、ディープインパクトも「世界最高峰のレース」といわれるフランスの凱旋門賞を勝つことは出来なかった。つまり、ワールドエースがワールドエースになるには偉大な父を超えなければならないんです。逆にいえば、それほど才能を見込まれたのかもしれません。
じゃあワールドエースの成績は? というと、昨年12月にデビューして1着→2着→1着→1着。勝ったレースでは、直線まで後方に待機して一気に追込む父譲りのスタイルで圧勝しているのですが、問題は2着に負けた一戦。雨で芝がぬかるみ、しかもレース前半のペースが遅く他馬が余力を残して直線を迎えたため最後の追込みが鈍ったのが敗因でしょうが、この負けによりワールドエースの能力を疑問視する声もあります。
だからこそ、今週日曜の皐月賞が重要。生涯一度しか出られない三冠レースの第1弾で、同世代のトップクラスが集結する大一番。真の実力が試されるのはここでしょう。
ただしワールドエースにとって厄介なのは舞台となる中山競馬場。なにせ直線が短い。310mしかない中山競馬場の直線は、日本ダービーが行われる東京競馬場よりおよそ200mも短いんです。これは直線で一気に追込むスタイルの馬には不利。父ディープインパクトも現役当時「負けるとしたら皐月賞」といわれていました。しかもディープインパクトはスタート直後に大きくつまずくアクシデント。それでも圧勝してしまったんですから、改めてすごい馬です。
いずれにせよワールドエースには過酷な皐月賞の舞台。でもここを勝てたなら「世界一」の道筋が少しは見えてくるかもしれません。
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