2012/04/04　 山下 貴志(編集部)「POG負け組からの脱出」

【POG】フジキセキの穴はセレクトセールの安価

今回採り上げる種牡馬はフジキセキ。サンデーサイレンスの初年度産駒で4戦4勝という短いキャリアで引退したため、サンデー後継種牡馬の筆頭格として、ここまで安定した種牡馬成績を挙げてきた。ただ、いわゆるクラシック向きの距離適性ではないため、POGではさほど人気にはならない。裏を返せば、POGの穴指名に向いているのかもしれない。それではまず厩舎別の上位成績を見ていこう。データ対象としたのは07年以降の2、3歳戦。数字は着度数、勝率、複勝率、1走あたりの獲得賞金（万円）となっている。

藤原英　【11.3.6.28】　22.9%　41.7%　288
宮本　　【9.9.3.25】　19.6%　45.7%　352
松田博　【9.4.6.49】　13.2%　27.9%　134
堀　　　【7.7.4.19】　18.9%　48.6%　199
西園　　【6.7.6.16】　17.1%　54.3%　618

松田国　【5.7.7.4】　25.0%　80.0%　973
戸田　　【5.2.3.12】　22.7%　45.5%　296
笹田　　【5.1.0.7】　38.5%　46.2%　269

上位5厩舎まででは宮本、西園厩舎が出てくるあたりが特徴的、それぞれデグラーティア、サダムパテックといった重賞勝ち馬も出している。また、松田博厩舎は07年以降のデータのため、代表馬ドリームパスポートは含まれていない。それでこの数字を残しているのだから、フジキセキとの相性がいいのだろう。それ以外では松田国厩舎の複勝率80.0%というのが目立つ数字。GI馬ダノンシャンティが含まれているので獲得賞金も高いものとなっている。重賞勝ち馬のような突出馬が厩舎成績を引き上げる一方、笹田厩舎の堅実性にも注目。5頭の管理馬のうち4頭を勝ち上がらせている安定感は魅力だ。続いてオーナー別の上位成績。

サンデーR　【21.13.13.64】　18.9%　42.3%　225
社台RH　　【18.17.14.90】　12.9%　35.3%　130
吉田照哉　　【11.4.6.46】　16.4%　31.3%　222
キャロット　【8.7.5.65】　9.4%　23.5%　96
近藤利一　　【5.8.1.45】　8.5%　23.7%　119

社台系オーナーの勝ち星が多いが、勝率としてはさほど抜けておらず、大きな特徴は見られない。好走率では吉田勝己氏【5.1.0.13】、平井豊光氏【4.1.0.6】、ダノックス【3.4.2.0】が目立つところ。ダノックスはダノンシャンティ、ダノンキセキのわずか2頭による成績だが、複勝率100%は特筆すべきところだろう。

オーナー別の上位成績に目立った特徴がなかったことの理由として、フジキセキ産駒は活躍馬を出すオーナーが分散していることが挙げられる。2年前の当コラムでも触れていたが、フジキセキ産駒はセレクトセール出身馬に活躍馬が多く、個人オーナー所有馬から重賞勝ち馬が出る例が多い。

セレクトセール出身馬に限定してデータを調べてみると、その成績は【54.42.34.249】、勝率14.2%、複勝率34.3%、獲得賞金274万円となっていた。サンプル数が多いのでもう少し特徴なところを絞り込むと、松田国厩舎が3頭の管理馬で【4.5.2.0】と複勝率100%だった。これは好相性といえそうだ。また、落札額では5000?7000万円の価格帯の馬が【4.1.2.14】で勝率19.0%と最も勝率が高かったのだが、比較的価格帯ごとに大きな差はなかった。おもしろいのは1000万円以下の価格帯が獲得賞金額ではトップの467万円だったこと。このゾーンからはエフティマイア、デグラーティア、ホーマンフリップといった重賞活躍馬も出ている。セレクトセールで安価だった馬に穴馬が隠れているといえそうだ。

なお、今週の桜花賞にはフジキセキ産駒エイシンキンチェムが出走予定（除外の可能性あり）。こちらはブリーズアップセールの出身馬だが、同セールのフジキセキ産駒はデータ期間中で【2.0.0.22】という成績。2勝を挙げているのがエイシンキンチェムで、それ以外はすべて馬券圏外なのだ。このセール出身馬の相性が悪いのか、エイシンキンチェムがそれを打ち破るだけの突出馬なのか。結果はいかに。


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