2012/03/13 ハイランド真理子「世界オモロイ競馬ニュース」
【世界オモロイ競馬】一生涯男性として生きたオーストラリアの女性騎手
オーストラリアの競馬の公式な歴史で、初めて女性騎手が誕生したのは1979年のこと。パム・オニール騎手の名前が記されている。
しかし、公式な歴史には残っていないが、1940年から50年代に、オーストラリアのクインズランド州ケアンズで、女性であるビル・スミスという騎手が騎乗していたという記録が発見された。ビルは、その頃“女っぽい”という蔑称を付けられ、「ビル“ガーリー”スミス」という名で知られていた。
彼は他の騎手と一緒には絶対シャワーを浴びず、競馬場に来るときには既に勝負服を身に着けていたという。 誰ともしゃべらないし、「変な奴」だと思われていたらしい。実際、同僚の騎手たちから裸にされそうになり、裁決委員が止めに入ったこともあったし、落馬して助けられた時に、洋服を脱がせないでくれと懇願したとも伝えられる。
ビルは、当時のオーストラリアでは条件付きで許されていた調教師の免許も持っており、主に、自分で調教した馬に騎乗していた。トップトレーナーでもトップジョッキーでもなかったビルは、引退してからは国が提供する貧しい人たちのための住居に住み、もともと自分が調教していた馬、シドニーツー号に乗って近所のビール工場に通っていたのを当時の人が覚えている。
その後病気に罹り、長い間の療養生活を経て、80歳を過ぎて亡くなった時に、彼が初めて女性であったことが分かった。ビルという名前は通常、男性の名前ウイリアムの略称なのだが、彼女の場合のビルは、ウイマラーナという女性名の略称であった。
家族もおらず、友人もおらず、ほとんど一生をひとりで過ごしたビル・スミス。しかも、自分が女性であったことを隠して生きた人生は、なんと寂しい人生だったのだろうか。もっとも、周りに人はいなくとも、彼女には彼女を理解し愛してくれる馬たちがいたのかもしれない。人は人を差別するが、動物は人を差別しないから。
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