2012/05/14 長谷川 仁志「仁志長谷川の○○な回顧」
【メイン回顧】ホエールキャプチャの勝利に競馬の奥深さを感じた
名門千代田牧場の勝利は素直に嬉しかった。ビクトリアクラウンからさかのぼり、数々の名馬を生み出した千代田牧場だが、1週前のNHKマイルCでは、シゲルスダチが競走中止。その翌週に近親のホエールキャプチャが見事にリベンジを果たしたのだから、やはり、競馬は奥が深い。
そのホエールキャプチャ。馬体重こそ前走と変わらなかったが、3歳時との比較から考えると、470キロはまだ太いと一瞬思った。が、パドックで同馬を見ると太め感はまったく感じさせず、むしろ自分の眼には細く見えた。これは、この馬の特徴であり、細く見えたほうがこの馬は走る傾向にある。察するに、前走時はウッドから坂路という調教だったのだが、今回は1週前の時点でウッドで負荷を掛けており、その段階で大方仕上がっていたのだろう。調教の量ということではなく、メリハリの利いた調教であり、それでいて前走時と変わらぬ馬体重だったことは、内面が充実していたと思われる。また、中山牝馬Sを使ったことで、文字通りに叩いて良くなったともいえる。輪乗りの時にも落ち着きがあり、1点に集中していかにも賢い馬といった感じ。その賢さゆえ、競馬で大きく崩れることがないのだ。
また、鞍上の横山典騎手の好騎乗も光った。前走で手応えは掴んでいたであろうが、ここでポイントになるのが、土日で芝の傾向が違っていたこと。土曜は馬場の中から差し、追い込みが決まっていたが、日曜日は内が残る馬場。しかも戦前から、前が速くならないと予想されており、実際にクィーンズバーンの逃げは、3F34秒4で5F通過が58秒2と、GIレースとしては遅い流れ。では、何が上手かったか。スタートも上手かったが、クィーンズバーンが逃げてドナウブルーが2番手に上がった時に、内にいるレディアルバローザの1歩前を斜めに進み、内めの3番手を取りきったところで勝負はあった。スタートして十数秒の攻防だが、当日の馬場と展開を読みきった横山典騎手のファインプレーだった。もちろん、馬自身の能力は、昨年のGI戦線で実証済み。今回は鞍上のリードも巧みとあって、気分良く走れたことで、道中力を抜いて走れていたことも最後の伸びに繋がったか。スパッと切れる脚はないが、折り合えれば長い脚を使うタイプで東京のマイルもベストの条件だった。
ウィリアムズ騎手の馬をもたせる技術が光った2着のドナウブルー。来日中の外国人騎手が、彼1人しかいないので余計に目立つが、今回も、外枠から2番手で競馬をさせたのが良かった。昨年の堀川特別(3着)あたりから馬が覚醒しており、京都牝馬Sの勝ち方から、この馬もベストはマイル戦。これは3着のマルセリーナにもいえるが、パドックで落ち着きがあるディープインパクト産駒は総じて競馬にいって良い。
3着のマルセリーナ。上位2頭が先行した馬で、内から最速の上がりを使い3着まで押し上げてきたのは馬の力で桜花賞馬の面目は保った。ただ、スタートでつんのめったのが最後まで響き、直線でも窮屈なところがあったのも事実。とはいえ、まだ、チャンスはあるはず。
5着のアパパネだが、流れに乗った競馬は出来ていたが、最後はなだれ込む競馬。498キロと、前走より6キロ絞れてはいたが、昨年は490キロのヴィクトリアマイルを勝ち8キロ増えた安田記念を負けている。このことからも、マイルを走るにはこれでも重かった。次走はおそらく安田記念になると思うが、後6キロ絞れていたら、牡馬が相手になるが、好走も考えれれる。そして、今年は展開も向かなかった。昨年はオウケンサクラが引っ張る、速い流れであったが、今年の様なスロー寄りで上がりが速い競馬は合わないのかもしれない。最後に私の願望だが、1度ダート戦を使って欲しい。ダートで行われた最終追い切りでは、マーチSを勝ったサイレントメロディを子供扱い。体型からもダートは相当上手く、母系もソルティビッドからSalt Lakeという生粋のダート血統。春にはダートの大きいレースが2000mの帝王賞くらいしかないが、秋には南部杯がある。是非、この馬のダートの走りが見てみたい。
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