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コラム

2012/02/20  棚井 伸一郎「トレセン放浪記」

【トレセン放浪記】預託頭数のルール変更が及ぼす影響(後編)

自由化か、それとも保護競馬か。JRAにはその方向性を示す責任が問われる

預託可能頭数を60頭に増やしながら、レース数は変更しなかったために出走馬が溢れ続けました。1カ月に1回の出走さえままならない状況が続いた結果、個人馬主はもちろん、名門と呼ばれるオーナーブリーダーたちでさえも、この世界を去ることになってしまいました。

JRAでは所有馬がレースに出走すると、最も安い新馬・未勝利戦で35万6000円という、いわゆる出走手当という奨励金が支払われます。この出走手当は、1頭の馬に対して1開催に2走分まで支払われるルールになっており、これが馬主経済を支えていると言われています。

簡単に言えば1開催、つまり1カ月に2回走れば35万6000円×2=71万2000円の出走手当が支払われるため、60万とも言われる預託料を自らの資金を持ち出すことなく支払えるのです。預託料が71万2000円以下ならば、余ったお金はオーナーたちの収入になるのです。

もちろんオーナーたちは馬の購入代金、あるいは繁殖牝馬を所有して生産する際に出費しているのですが、いまのルールならば実質JRAの所属馬という形となり、1開催に2回出走できれば損することはないのです。長年、登録馬とJRAの馬房、そしてレース数のバランスが保たれていたため、出走手当という奨励金のシステムが上手く機能してきました。

ところが、預託可能頭数だけが60頭に拡大されたことで、すべてのバランスが崩れ始め、クラスによっては2カ月間で1回の出走さえも危うい状況となってしまったのです。出走できない馬たちのほとんどは一旦育成牧場に放牧に出されます。そうすることで預託料の節減が図られているのですが、もし厩舎に2カ月在厩したら1カ月の預託料が60万の場合、120万円をオーナーは自己資金から支払わざるを得ないのです。

預託可能頭数拡大という規制緩和に、メリット制という競争原理を働かせた結果出た答えは、厩舎の倒産と馬主の激減ということなのです。一般社会において規制緩和が叫ばれている時代ですから、このまま競争原理を働かせ続ける政策をとるのも良いでしょう。

ただその結果として、特に欧州で競馬離れを加速させたといわれる、オーナー、厩舎ともに一極集中化が進むことになるということを覚悟しなければなりません。自由化か、それとも保護競馬か。いま主催者としてJRAには、その方向性を示す責任が問われています。


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