おしらせ
【今週の重賞】[大阪杯]スターズオンアースやヒシイグアスが人気も大混戦ムード
■4月2日、阪神競馬場で第67回・大阪杯(GI、芝2000m)が行なわれる。
1957年創設の伝統ある中距離重賞。古くは阪神芝1800mで行なわれていたが1972年より芝2000mに延長。長らく天皇賞・春の重要な前哨戦としてファンに認知されていた。しかし長距離重賞の地盤沈下が進む一方、春に古馬中距離GIの設立が求められるようになり、2017年にGIに昇格。名称もそれまでの「産経大阪杯」から「大阪杯」に改められた。ただし同時期にドバイや香港の国際競走があるため有力馬が分散し、GIとしてはレースレベルが例年そこまで高くならない。
牡馬を押しのけて1番人気に推されそうなのが、スターズオンアース(牝4、美浦・高柳瑞)。重賞で連続2着しながら、桜花賞では7番人気の低評価。しかしレースでは馬群を割ってハナ差で優勝。オークスでも3番人気止まりだったが、不利な大外枠もものかは、直線力強く突き抜けて牝馬二冠を達成した。ところがレース後に骨折が判明。調整不足で臨んだ秋華賞は3着に敗れ、2年ぶりの三冠牝馬誕生とはならず。もっとも敗因はスタートの出遅れに尽き、最後33秒5の末脚で勝ち馬に迫った走りは、負けて強しの内容だった。その後、左前肢繋靭帯炎を発症し再び休養に入るも、経過は良好。3月頭に帰厩し調整も順調だ。オークスや秋華賞で見せたパワフルな末脚がセールスポイント。また、一度も馬券圏内を外したことがなく、どんなコースでもこなせる安定感も見逃せない。初の古馬・牡馬との対戦になるが、本レースは3年連続で牝馬が連対中。体調がしっかり整えば、上位争いには確実に加わりそうだ。
ヒシイグアス(牡7、美浦・堀)は念願のGI奪取に挑む。若い頃から素質の高さは評価されていたものの、体質が弱く出世はスロー。それでも4歳春から連勝がスタートし、5歳になって中山金杯と中山記念を連破した。GI初挑戦、しかも8カ月の休養明けながら、強豪集った2021年の天皇賞・秋も5着に健闘。次戦・香港Cでは2着に好走し、タイトルホルダーが大レコードで勝った宝塚記念でも2着と、GIでも差のない競馬ができることを証明した。宝塚記念後は重度の熱中症にかかり、前走・中山記念では仕上がりが心配されたのだが、レースでは鮮やかに差し切り勝ち。その後は順調に調整され、4着に敗れた昨年以上の状態で出走できる見込みだ。宝塚記念のパフォーマンスを見ても能力は非凡で、今年のメンバーではトップクラス。7歳でも出走数が少なく、前走の勝ちっぷりには衰えは感じられない。堀厩舎が不得手と言われる長距離輸送をこなせば、初タイトルを掴む可能性は大いにある。
ここを勝って“現役最強牝馬”の座を目論むのがジェラルディーナ(牝5、栗東・斉藤崇)だ。父がモーリス、母がジェンティルドンナで“計13冠産駒”という超良血。ポテンシャルの高さは出走馬の中でも群を抜く。ただし初勝利は3戦目。3歳夏から3連勝でOP入りするも重賞にはなかなか勝てずと、素材のわりには伸び悩んだ。しかし昨年夏休みを挟むと、小倉記念3着後のオールカマーで重賞初制覇。勢いに乗って次走・エリザベス女王杯を制してGIホースに。有馬記念も大きく出遅れながら3着に好走と、ついに良血馬が本格化を迎えた。もっとも、オールカマーの勝利やGI連続好走は馬場や展開に恵まれた面も大きく、今走は真の試金石。また今年のメンバーなら能力面は足りそうだが、2000mは若干距離不足に映る。
有力馬の中でもっとも展開が向きそうなのが、ジャックドール(牡5、栗東・藤岡)。一昨年の9月から怒涛の5連勝で金鯱賞を制覇。重賞初挑戦にもかかわらず軽快に逃げて後続を2馬身半突き放し、コースレコードまで記録したのだから、文句なしに強い勝ち方だった。この走りが評価されて大阪杯では2番人気に推されたが、結果は5着敗退。GIの厳しい流れと実績のない中2週の詰まったローテが響いたようだ。その反省を生かし、4カ月半の休養を経て臨んだ札幌記念は先頭ゴール。続く天皇賞・秋は4着に善戦。香港Cは7着と初めて掲示板を外したが、発馬後にヨレて先手を取れなかったもので、初の海外遠征でもあり参考外としていいだろう。スピード豊かな先行力が武器。反面、これまでの走りからGIを勝つには底力が欠けるように映る。ただし今年は上位馬の多くが差し脚質のうえ、先行馬が極端に少ない組み合わせ。大阪杯は先行馬に有利なレースだし、5着に敗れた昨年とは違って、今年はゆとりのあるローテで臨める。ここは千載一遇のチャンスだ。
ほかにも、鳴尾記念と日経新春杯に勝ち、GIでも2、3着好走が複数あるヴェルトライゼンデ(牡6、栗東・池江)、中山金杯で重賞初制覇、続く中山記念も2着と上昇中のラーグルフ(牡4、美浦・宗像)、昨秋にマイルCS、香港CとGIで連続2着したホープフルS勝ち馬・ダノンザキッド(牡5、栗東・安田隆)、中日新聞杯優勝で復活の狼煙をあげた、こちらもホープフルS馬・キラーアビリティ(牡4、栗東・斉藤崇)、AJCCで重賞2勝目を挙げて勢いに乗るノースブリッジ(牡5、美浦・奥村武)、そしてディフェンディング・チャンピオンのポタジェ(牡6、栗東・友道)と、伏兵勢にも一発大駆けがありそうな実力馬が揃った。大混戦ムードでレースも馬券も面白くなりそうだ。
(Text:Hattori)
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